身近な生き物たち:ヤチカンバ
文化財活用担当の大谷です。
別海町に広がる湿原は、素朴ではありますが独特の風景を見せてくれています。
ヤチボウズやツルコケモモはよく知られておりますが、その中でも「ヤチカンバ」と呼ばれるシラカバの仲間が、別海町西別湿原の象徴的な存在です。
ヤチカンバは、栄養が少なく厳しい湿原の環境に適応し、氷河期から生き残っている貴重な木で、絶滅も危惧されている種です。
このヤチカンバを守り次世代へと伝えていくために、別海町の学芸員の方々はその保護と研究に全力を注ぎ、長年にわたりこの植物の生態を調査し適切な保護策を講じてきました。
令和6年2月に植物地理学・遺伝学的に価値が高いことが認められ、別海町の西別湿原ヤチカンバ群落が国の天然記念物に指定されました。
このヤチカンバ、上部の幹部分が枯れてしまっても根っこは生きながらえており、一旦木が枯れてもまた新たな芽を出します。
一説によると氷河期時代から同じ種が生命を紡いでいるとか。
ヤチカンバが語る自然の物語を私たちも共有し、未来へと紡いでいきたいですね。
教育委員会はじめ学芸員の方々の努力には心から感謝するとともに、その取り組みが広がり続けることを願っています。