草原の色が変わるとき : エゾシカと過ごす道東の季節
北海道・道東の広大な自然が、夏の終わりから秋の訪れとともに少しずつ姿を変えていく季節。青々とした草原はやがて亜麻色に、森の木々も秋の装いをまとい始めます。
この時期、エゾシカたちもまた新しい季節に向けて準備を始めるのです。
そんな夏から秋へと移り変わる道東の自然と、エゾシカの暮らしを一緒に見ていきましょう。
夏の終わり草原を彩るエゾシカたち
夏の道東といえば、広がる草原にエゾシカの親子やオスのグループがのんびりと草を食む風景が思い浮かびます。特に別海町の草地や森は、エゾシカたちにとって絶好の住み家。
緑に囲まれオレンジの体に白い斑点模様が特徴的な「鹿子(かのこ)模様」を持つ彼らは、太陽の光を浴びながら夏の草原で静かな時間を楽しんでいます。
暑さが和らぐ夕方には草原で休むエゾシカの親子たちをよく見かけます。
長い脚を折りたたんで穏やかな目をしながらゆっくりとくつろぐ姿には、こちらもつい見入ってしまいますね。
秋風とともに変わるエゾシカの暮らし
9月〜10月に入るとひんやりとした風が吹き始め、草原や森の景色が少しずつ秋色に染まっていきます。エゾシカたちもこの季節の変わり目をちゃんと感じ取って暮らし方を少しずつ変えていきます。
特にオスのエゾシカたちはこれからやってくる繁殖期に備えて力強く成長し、メスを巡る闘いに備えます。
体の色はだんだん濃くなり、首元にはたてがみのような長く黒い毛が生えてきてたくましい姿に。
夜明け前や夕暮れ時には森のあちこちでエゾシカの雄叫びが響き渡り、その声は「秋が来たよ!」と告げているようです。
そんな彼らの勇ましい姿は、普段の穏やかな表情とはまるで別人(別鹿?)のよう。秋のドラマが始まったことを実感させてくれます。
冬に向けて食べることはもっと大切に
秋が深まるにつれてエゾシカたちにとって「食べること」はもっと重要になっていきます。冬に向けて体力を蓄えるために、栄養豊富な木の皮や草を求めて歩き回る姿があちこちで見られるように。
でも、ここで少し問題も。
エゾシカの数が増えすぎると農作物や森の樹木にダメージを与えてしまうことがあるんです。別海町でもそうした影響を抑えるための対策が取られています。
とはいえ、自然の中でエゾシカが共に暮らしている風景は、道東の豊かさを感じさせるとても大切な一部です。
エゾシカと一緒に過ごす秋の道東
秋が深まると道東の森や草原はまるで絵画のような美しい風景に変わっていきます。カラマツが黄金色に染まる頃、エゾシカたちの姿をそっと眺めていると、彼らが四季のリズムに合わせて暮らしていることがよくわかります。
そのたくましい姿を見ていると自然の力強さや美しさを改めて感じさせられますね。
エゾシカたちが生き生きと暮らすこの道東の自然をこれからも大切に見守りながら、その変化を楽しんでいきたいと思います。
別海町地域おこし協力隊 文化財活用担当 大谷
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