見出し画像

野付半島とトドワラ:自然と歴史が織りなす儚い絶景

北海道の東、知床半島と根室半島のちょうど間に広がる野付半島は、オホーツク海に細長く伸びる日本最大の砂嘴(さし)です。その全長は約26km!(今は伸びて30kmになっているという説も)海流が長い年月をかけて運んだ砂が幾重にも堆積し、自然の力が生み出したユニークな地形です。

そんな野付半島の名物スポットが「トドワラ」。ここは、海水の浸食や地盤沈下で枯れたトドマツが立ち並び、その姿が「枯れた荒野」という意味の名前の由来です。真っ白に朽ちた木々はどこか幻想的で、夕方のオレンジ色の空に浮かび上がる姿は、写真好きにはたまらない絶景。自然の力が描き出す侘び寂びの美しさに、思わず時間を忘れてしまいます。

満潮時

幻の港町「キラク」のロマン
野付半島には自然だけでなく、ちょっとミステリアスな歴史もあります。その一つが「キラク」という幻の港町の伝説です。江戸時代から明治初期にかけて、半島の先端に港町として栄え、敷石の道や遊郭まであったとか。しかし、地図や文献には明確な記録がなく、その存在は謎のまま。まるで宝探しのような歴史ロマンが、この場所の魅力をさらに深めています。

年間を通して様々なツアー、観察会が開催されている

野付半島は「生きている場所」
野付半島はただ静かなだけの場所ではありません。海の中は起伏に富んで潮流も速く、北海道でもトップクラスの漁場として有名です。さらに、オンニクル遺跡から発掘された擦文時代の住居跡や、沖合から発見されたマンモスの化石など、この場所が太古から多様な生命の営みを支えてきたことを物語っています。

別海町郷土資料館に展示されているマンモスゾウの臼歯
マンモスゾウの資料とクールな石渡副館長

そして、今も変わらず多くの野生動物や鳥たちがこの半島を訪れ、命のサイクルをつないでいます。広がる湿地や複雑な海岸線が、そんな生き物たちの楽園を作り出しているんです。

トドワラを見に行こう!
野付半島は、その長さや美しさだけでなく、訪れる人々に「自然の力ってすごい!」と思わせてくれる場所。特にトドワラの風景は、人生で一度は見てほしい絶景です。夕陽に染まるトドワラで感じる時間の流れや静けさは、日々の忙しさを忘れさせてくれるはず。

カメラを片手に、侘び寂びの世界を楽しみに出かけてみてはいかがでしょうか?

別海町地域おこし協力隊 文化財活用担当 大谷
インスタアカウントはこちら
ohtani_betsukai