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あけましておめでとうございます、新年に文化財について考えてみた
郷土資料館で協力隊をやっている近藤です。
新年あけましておめでとうございます。本年も何卒よろしくお願い申し上げます。
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僕は60を過ぎてからこの仕事にかかわるようになって、別海町の歴史や文化財を活用することのお手伝いをさせていただくようになりました。
毎日勉強させていただくことばかりで楽しくお仕事をさせていただいています。
ビジネスマン時代とは全く違うカルチャーで生きていくなかで、年初に抱負を考える中で、ふと、「そう言われれば文化って何だろう?」と思うようになりました。
そう言われれば若い時から忙しく生きてきた中で、「文化」っていうものを改めて考えて仕事はしてこなかったかなあ?
ビジネスマンの時は、他のたくさんいる頭の固いタイプの人と同様に「文化って金にならないし」って考えてなかっただろうか?って振り返るようになりました。
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そこで、文化庁さんが考えている文化というものはどんなものなのか?調べてみました。
文部科学省の諮問機関である「文化審議会」は平成13年4月の答申で「文化を大切にする社会の構築について」にこう定義しています。
「文化は、①人間が人間らしく生きるために極めて重要であり、②人間相互の連帯感を生み出し、共に生きる社会の基盤を形成するものです。また、③より質の高い経済活動を実現するとともに、④科学技術や情報化の進展が、人類の真の発展に貢献するものとなるよう支えるものです。さらに、⑤世界の多様性を維持し、世界平和の礎となります。」であるがゆえに、「文化を大切にする社会」を構築することが必要なんだと訴えています。
まさにその通りだなあ!と感心しました。
先日、三重県四日市市の学芸員の方がテレビで仰ってましたが、「今の状況、現在の状態ばかりにとらわれてばかりいるから未来が見えない、昔を理解し現状を見るから未来が見えるんです、博物館や文化財の役割はそこにあるんです」っと力説していました。
そういえば、振り返ると僕もそうだったかなと思いだすこともあります。
僕はビジネスマン時代、営業をやっていましたが、どのような提案をするべきか考えるとき、先ずはそのお客様の歴史を徹底的に調べました。
「今までの歴史があって現在の状況がある、だからこういうものを作ればこのようになる可能性があるんです」というストーリー創りです。
まさに、「過去と他人は変えられない、でも自分と未来は変えられる」ということを理解いただく。歴史や文化を知らず知らずのうちに使っていたのかもしれません。
ただ、わが国では文部科学省、諮問機関の上記のような答申が出ているにもかかわらず日本の文化行政というのは、例えば予算面で見ても世界でも非常に低いレベルです。令和5年度の国の一般会計予算は114兆3812億円ですが文化庁の予算は1076億、なんとわずか0.1%です。
つまり、まだまだ「文化は金にならない」と考えている人がたくさんいるという事でしょう。
上の審議会答申に照らして逆説的に考えると「文化を理解していない組織は①人間が人間として生きるのが難しく、②連帯感も共生する社会基盤も乏しく③質の低い経済活動にとどまっていて④人類の真の発展に貢献できていないうえ⑤多様性に理解がない」組織ということになってしまいます。
そのような国にならないためには、上から下まで個人個人が文化というものの大切さを考えることがとても大切です。先ずは自分の国、地域、街の歴史や文化財に興味をもつ事から始めてみませんか?