森に囁くエゾリスと別海町の静けさ
別海町の森を歩いていると、ふと静寂の中に微かな音が響くことがあります。
風に揺れる木々のざわめきに混じって、どこかから 「カサッ」 と何かが動く気配。
顔を上げると、そこには大きなふさふさの尻尾を持つエゾリスがじっとこちらを見つめているのです。
エゾリスは別海町の自然の一部としてこの森で静かに暮らしています。
エゾリスはただの可愛らしい動物ではありません。
その存在にはどこか神秘的なものが感じられます。
彼らはまるで森の住人として、木々や風、そして別海町の自然と深く繋がっているかのようです。
大きな瞳でこちらを見つめるその姿は、まるで森の秘密を知っているかのような、こちらを見定めるような不思議な雰囲気を漂わせています。
アイヌ語では「トゥスニンケ」と呼ばれ、姿を見ると不吉であるとされる地域もありますが、その特徴的な仕草は何かを予知して人間に知らせているのだという考え方もありました。
春には、エゾリスは新芽や木の実を探し回り、夏が終わる頃にはその実を木陰に隠しながら秋に向けて準備を進めます。
やがて冬が訪れ雪が森を覆い尽くすと、エゾリスたちは再び姿を見せます。
雪の中を軽やかに走るその姿は、まるで森の精霊が動き出したかのような印象を与えます。
彼らは森を守る存在としてこの静寂の中に息づいているのです。
別海町を訪れた際には、ぜひエゾリスたちの姿を探してみてください。
彼らがどこかの枝の上から、ひょっこりと顔を出しているかもしれません。
文化財活用担当 大谷