文化財活用担当、大谷です。
サクラマスの一生は、自然の壮大な循環の一部であり、命の尊さを感じさせるものです。

彼らは冷たい山間の河川で生まれ、数か月後に孵化した稚魚は「ヤマメ」として川で1年ほど過ごします。
この間に多くのエサを食べることができればヤマメとして一生を川で過ごしますが、エサが十分に得られなかった個体とほとんどのメスはサクラマスとなり、海へと下る準備を始めます。

サクラマスとして成長する個体は川を離れ、広大な海へ旅立ちます。
海での生活は過酷であり、多くの試練を乗り越えなければなりません。
しかし、ここで豊富なエサを食べ更に大きく育ち、個体によっては70cm近くまで成長することもあります。
約1年後、産卵の時期が近づくと、本能に導かれ彼らは生まれた川へと戻ってきます。
この「遡上」の旅は壮絶なもので、強い流れや障害物を越えて命を懸けた旅をたどります。

サクラマスの一生は、一つの命が巡り次の命へとバトンを繋ぐ象徴です。
彼らは産卵を終え次世代の命を育むと、やがて力尽きます。
その姿は自然の循環を見守る瞬間そのものであり、命の一瞬一瞬がいかに貴重であるかを感じさせます。
自然の中で生きるサクラマスの壮絶な一生は、私たち人間にとっても学びの多いものです。
彼らが成し遂げる命の旅路を、いつまでも静かに見守り続けたいですね。