見出し画像

自然の楽園、茨散沼(バラサントー)の魅力を探る

北海道の東部に位置する別海町には、四季を通してさまざまな表情を見せる自然豊かな場所が多くあります。
その中でも、特に茨散沼(バラサントー)は静寂と美しさを併せ持つ特別な場所です。
今回はこの茨散沼の歴史的背景と自然環境まで茨散沼の魅力を深掘りしていきます。

歴史が息づく「ハラサン」と茨散沼

茨散沼の名前の由来は一見難解に思えますが、実はアイヌ語に由来しています。
「ハラサン(para-san)」は「平棚」という意味を持ち、かつてこの地に広がる平らな地形を表していました。
また、昔はこの地域に納屋が作られ、函館から米や酒、味噌などを取り寄せていたという記録も【北海道蝦夷語地名解】に残されています。
広がる棚地のイメージとともに、昔の人々の暮らしが感じられる場所なのです。

全景、背後に知床連山を望む

植物群落

茨散沼は、フトイ群落、マコモ群落、ジュンサイなどの貴重な水生植物群落があり、水鳥たちのさえずりとともに、静かで穏やかな時間が流れます。
手付かずの自然がそのまま残されており、湿原としての美しさもまた格別です。

さらに、この地域は2016年に環境省が選定した「日本の生物多様性保全上重要な湿地」の一つとして認定されています。
茨散沼湿原、兼金沼(カネキントー)、西別川湿原がNo.024として選ばれ、豊かな生態系が守られていることは、自然愛好者にとって非常に価値のあるポイントです。
動植物の宝庫として、多くの種がここに生息しており、まさに「動物たちの楽園」と言えるでしょう。

水鳥たちの憩いの場

静かな水面をたたえる茨散沼は、人間だけでなく野鳥にとっても魅力的な場所です。
秋にはシベリアから本州へと渡るカモ類の重要な休憩場所なります。
長距離を移動してきた水鳥たちは静かなこの沼でひとときの安らぎと栄養補給をして、また再び長い旅路へとつきます。
また、春から夏にかけては特別天然記念物であるタンチョウの重要な繁殖場所となり、運が良ければ可愛い雛鳥も見ることができます。

茨散沼の未来

別海十景の一つとしても選ばれている茨散沼。
この場所は地域の自然や歴史を今に伝えるだけでなく、未来に向けても大切に守られていくべき場所です。
これからも多くの人々に愛され、四季折々の美しさと静けさを体験してもらいたいものです。

文化財活用担当 大谷

カヌーイストにも人気のポイント

※カヌー等実施される際には、天候や水温、落水時の救助体制などに十分備えていただき、自己責任にてお願いいたします。

※ジュンサイの採集には自治体の許可が必要です。